医師 黒木 弘明

メニュー

二〇二四年 五月二日(木)

綴りごと 想いごと

頑張る時の留意

もしあなたが頑張っている、

又は頑張ろうとしているのであれば、

次のことを気をつけてはどうだろう?


●自分一人が頑張ったという思い込みに気をつける
:頑張っている時は、我を張りがちなので

視野が狭くなることが多い。

たとえ、あなたの頑張りの結果で

何かを達成したとしても、

全てがあなたの手柄ではない。

あなたの知らない所で、あなたを応援し、

支え、力付けている存在がいる。

しかし、あなたは知ることはない。

それでも目に見えない助力に想いを馳せるしかない。

それが謙虚さである。

自分が知っていることがこの世の全て

だと思うことは、

井の中の蛙が思わず大海に出る以上に危うい。


●他人に自分と同じ頑張りを求めない。

:自分の頑張りだけが自分の手柄に繋がった

と思い込んでしまうと、

他人にも自分と同じ頑張りを

求めるようになる人が圧倒的に多い。

自分で密造した勝利の美酒に悪酔いしているのだ。

「俺が頑張って成功したのだから、

お前だって頑張れば同じように結果が出る筈だ!」

という具合に。

まず「俺とお前」は別人だから、

この理論は全く成立しないのだが。

さらに自分と同じ様に頑張れない人、

結果が出ない人を怠け者だ

と罵るようになることが次の段階である。

頑張った結果、人を罵るようになったのでは、

いくら成果を得たとしても、

人間としての成長は大きく退行したことになる。


◎頑張ることは、最善を尽くすこと

の一部に含まれる場合もあるが、

基本的には別物である。

そして最善を尽くすことは、

無理をすることとは関係がない。

さらに無理をすることが

本気になることではなく、

本気になることは

他人に強要する類のものではない。

これらの言葉の持つ、

刷り込みイメージ(幻想)に惑わされないように、

自分で創ったイメージ(信念)を持つことは、

あなたを護ることになる。


◎今の私たちに至るまで、

どのくらいの礎があったのかを

忘れないでおきたいものだ。

多くの人の命、多くの人の喜怒哀楽が

無限に堆積した時代と歴史の上に、

今の私たちがある。

この瞬間でさえも私たちは、

見えない助力に支えられている。

この真実に触れることができるのは、

私たちの無限の想像力であり、

精一杯の知性であり、謙虚な信念である。