医師 黒木 弘明

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二〇二四年 三月二九日(金)

綴りごと 想いごと

音即人也

楽器から出る音には、

演奏者の人柄が隠せないのだから、

「音すなわち人なり」だよ

と若い頃から僕は発言していました。


なに小難しいことを言っているんだ、
音は音、マイクから出るんだ、カンケーねーよ、
と周囲に嘲笑されたこともありましたが、
それは楽器の捉え方の違いでしょう。
(言葉も自分と言う楽器から出る音なんだよ♪)


楽器も人の心も通じています。
例えば楽器演奏者が
「自分の技術のイマイチな所」に気付き、
それから逃げずに向き合っていれば、
その人は必ず上達するのは明らかです。


矛盾しているように聞こえますが、
本当に才能ある人は
自分の才能の無さも知っています。
そういうもんです。


心も同じであります。
自分の心の中のよどみ、
自分の抱いている怖れや固執に気付き
それと向き合ってゆく人は
そこから解放され自由になっていきます。


逆に、自分は怖いものなど無い、
自分は何も固執などしていない、
自分は弱くないぞ、
と強がっている人はやがて
強がることに疲れて衰えます。


そんなもんです。
自分のイマイチな所、
自分の心の中のトゲや傷、
それは自分を豊かにする道標です。
愛すべきナビゲーション・システムです。
使ってあげましょう。


音は人。
人は愛。
愛は音。


今のあなたの心は
どんな音を奏でていますか?






★追記★
写真は、僕が愛しているGuild社のギター。
シリアルナンバーから1996〜97年製と推定します。
ギターに幾つかクラックが入り始めました。


実の父親と生き別れた僕の多感で複雑な心と
一生懸命向き合ってくれた河野吉廣氏が営んでいた
福山市の楽器屋おたまじゃくし で
このギターと出逢ったのは2004年のこと。
彼は間違いなく、僕の心の育ての親でした。
今は天国で何をしてるんだろう。

おーいオヤジ〜🙋🏻‍♂️