医師 黒木 弘明

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二〇二四年 五月二日(木)

綴りごと 想いごと

自分を捉える

◎子ある者は子について憂い、

牛(お金・財産)ある者は牛について憂う。

執着するよりとごろによって、人間に憂いが起こる。
★サンユッタニカーヤ★


◎じつに自己は自己のものではない。

(自分でさえ自分のものではないのに)

どうして子どもが、どうして財産が、

自己のものであるか。
★ダンマパダ★


正にその通りだなぁと感じ入る。

私たちは、自分の心を

捉える練習をしないまま社会で暮らしているので、

自分の五感と自分の感情を

自分自身だと信じ込み、

それらに振り回されてしまう。


その上、自分ではないものに頼って

自分を守ろうとして、

それが思うように行かなくなると思い煩い、

意気消沈し悩んでしまう。


さらに、この世で生きている間に

(蜃気楼のような)満足を得ようと渇望して、

日夜躍起になって画策し、

それに人生の大半を費やしてしまう。


まるでCGで出来た世界の中でぐるぐる駆け巡り、

ドタバタ一喜一憂し、右往左往して、

在りもしない相手に向かって

独り相撲をしているかのよう。


そうかぁ、

そもそも『自分』の捉え方からズレていたんだなぁ…

『自分』って出発点であり、目的地だもんなぁ…

と中村元先生の解説を聴いて、シミジミ感じ入る。