医師 黒木 弘明

メニュー

二〇二四年 四月一九日(金)

綴りごと 想いごと

育てる

 

私はギターを育てている。
それは子育てによく似ている。


まずその子の特性に関心を持つこと。
得意不得意、得手不得手。


他の子との比較はしないと言っても
否が応にも違いは出るもの。


それでも動じない。
その子の良さが花開くまで
向き合ってゆくのみ。


その子の才能が試されているのではなく
こちらの信じる力が試されているのだ。


成功の定義もなく方程式もない。
失敗は過程であって
成功までの道のりのことを指す。


やめてしまえば
そこで本当の失敗になる。


それでも自分は万能ではない
自分は無力かも知れない
と覚悟する。


努力が報われたいとか
親の苦労を察して欲しいなどと期待はしない。
こっちが勝手にやっていると心得る。


その子の良さを奪わないように
手と我を出し過ぎないように


でも手を差し伸べる用意を備えて
向き合ってゆく。


それに自分だけが育てている訳ではない。
多くの人の力を借りていることを
忘れないようにする。


良い音がするギターは幾らでもある。
ハイスペックな子は幾らでもいる。
心を通わせることが大切だ。


オールマイティ・優秀でなくて良し。
存在として優しく響けば良し。


今日も向き合う。
その子と向き合う。
自分と向き合う。


でも結局こっちの方が
勉強になったり
助けてもらったりしている。