医師 黒木 弘明

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二〇二四年 三月二九日(金)

綴りごと 想いごと

美しさ

期間限定のお仕事で、ある人に出逢った。
その人はとても気の利く人で、私も助かっていた。


しばらくすると、その人は
海外から来た人と言うことが分かった。
ご本人が申告しなければ、私は分からなかった。


何故ならばその人は、日本人よりも
美しい日本語をお話しになるからだ。
日本語をよく勉強されたのだろう。


そして、姿勢が良い。
さらに、職務に余分な感情を交えず、
与えられた任務の遂行に忠実だ。


昨今の大多数の日本人よりも、この人の方が、
かつての日本人の良さを数倍も表現している。
おそらく私よりも。


私はハッとした。
今自分に備わっているものを
当たり前だと思って
疎かにしてはいなかったか?と。


今の私は
自分に与えられたものの良さを大切にして、
それを美しく表現できていただろうか?と。


美しいものが無いから増やしたり、
新しく獲得すると言った次元ではなく、
今自分に備わっているものを把握して
それを美しく表現することが
真に美しいことなのだ。


真の美しさは
私たちの内にある。


と言うことを私はその人から学んだ。


今日も私はその人に会うが、
期間限定のお仕事は今日が最後となる。
私は大切なことを勉強させて頂いた御礼に
自分の本にサインを入れて
その人にプレゼントしようと思う。