医師 黒木 弘明

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二〇二四年 四月二六日(金)

綴りごと 想いごと

経験という眼鏡①

【成熟とは怖くなること】


若い時は怖れ知らずって、よく申します。

そりゃそうですね。

怖いって言う経験がまだ少ないんですから。


その怖れ知らずが、年々段々と
経験と共に怖がり屋になっていく。


と言うことは、怖くなることは
成熟の証しじゃないですか。
何も恥ずかしいことじゃないですよ。


先々が不安だ、怖い…
自分の非力が心配だ、怖い…
家族の行末が…会社の未来が…
この国の将来が…人類はどうなる…


経験と共に怖いものが増えてくる。
よく見えるようになったんです。


怖いと言うことは、経験を重ねたってこと。
怖いってことは、生きてきたってこと。


じゃあ、良いじゃないですか。
良いことじゃないですか。
素晴らしいことですよ。


確かに怖いと固くなる。
身体も心も萎縮しちゃうし、
具合が悪くなっちゃう。


でもね、それを否定しないで欲しい。
不調を嫌わないで欲しいんです。
だって、成熟の証しなんですから、それ。


おお、お前さん、不調かい?
そうかぁ、成熟したんだなぁ〜
よく生きてきたなぁ〜


そう言って、自分を歓迎して
抱きしめてやって下さいよ。
ハグハグ。


え?若いのに怖がりなのは
どうするべきかって?


んなもの決まってるでしょう。
尚更ハグハグですよ。
早熟だっただけですよ。


ということでね、
怖いと確かに不調になるんだけど
不調の影には怖れがあるんだけど


それは貴方がよく目が利くようになった
ってだけのことでね、それをそんなに怖れない。


そこまで生きてきた自分を
まず最初にねぎらってやってよ。
ねぎらってもらわなきゃ誰だって
そこから先に進めないよ。


自分をねぎらってハグハグして
自分が気を良くして前に進んだら
怖れてたことも怖くなくなるよ。


怖くても怖くなくても関係無くなるよ。
どっちでも良くなるよ。
恐怖じゃなくて自分に戻っていくよ。


自分から始まって寄り道して自分に戻る。
それが経験というメガネだよ。