医師 黒木 弘明

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二〇二四年 四月二〇日(土)

綴りごと 想いごと

水面の雲

雲には、
自分の姿が見えない


それでも朝のほんのひと時だけ
水面に映る自分の姿を見ることが出来る。


どんな姿が映ろうとも
雲は水面が悪いとは思わない。


ただただ水面に映る
自分の姿を見て感じるのだ。


風が強くて波が高くて
水面に映る自分の姿が歪んでいようとも
雲は文句を言わない。


なぜならば、波風をたてて
動揺しているのは自分である、ということを
雲は受け容れているからだ。


今日も雲は
自分が映る僅かなひと時を逃すまいと
大切に水面を見つめている。