医師 黒木 弘明

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二〇二四年 四月二六日(金)

綴りごと 想いごと

楽しむって何だ?

最近よく見かけるのが

「どんなことも楽しんで」「何事も楽しもう」という言葉。

でも実際に苦境に立たされた人は、

「全てが楽しい訳がねぇだろ、このヤロー!」

と感じる気持ちに、私は共感します。

私の感じ方のせいもありますが、

「とにかく楽しみましょー!」というのは、

他人事のような、無責任な言葉に聞こえる時があります。

だから、私はこう付け足します。

苦しい時は苦しい。

悲しい時は悲しい。

それで良いはずです。

むしろ、
自分の中の素直な気持ちを誤魔化さないこと、

否定しないこと、

置き換えないこと、

かき消そうと躍起にならないこと、

引き受けてゆくこと、

それが『楽しむ』ということの本質ではないかな?

と私は考えます。

苦しい時には、堂々と苦しむ。

だって、苦しいんだから。

笑いたければ、恥ずかしがらずに笑う。

だって、笑みが溢れるんだから。

色々ひっくるめて、凸凹あっても、清濁あわせて、

今を生きている自分を良しとする。

仮に良しとしなくても、オッケーとする。

もしもオッケーとは言えなくても、生きてゆく。

それが『楽しむ』ってことじゃないですかね。

だから、

苦しんでいる人は、一生懸命に楽しんでいる人となります。

別に楽しもう!なんて意気込まなくても、

既に楽しんでいるんですよ、我々は。

それに気づけば、別の楽しみ方が生まれて、

また新たに楽しくなる!というだけのこと。

つまり、私の中で『楽しむ』とは、

「体験する=堪能する=味わう=生きている」

ということであります。