医師 黒木 弘明

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二〇二四年 四月二六日(金)

綴りごと 想いごと

不安を愛についての学びの素材へ

 

愛について考える、とは逆説的に言えば、
自分の中に「愛ではないもの」が存在していないか?
と考えることでもあります。



愛ではないもの、とは
怖れ、不安、怒り、嫉妬、傲慢、攻撃したい気持ち

などでしょうか。



でも実際に、誰かに対して怒りを感じている最中は、
自分が、かなり熱っぽくなっているので、
「あ、自分の中に愛ではないものが有るなぁ」
と冷静に考えるのは、なかなか難しいものです。



自分に内面について考える時、
それは、喜怒哀楽の熱が
少しおさまった時の方が良さそうです。



例えば、不安に押しつぶされそうな時。



怖くてたまりません。
どうしようもない不安がやってきます。
誰かに話すのも、はばかられるし、
話しても、分かってくれないかも知れない、
話したら楽になるけど、それも一瞬のことで、
またすぐに不安がやってくるし

何かに没頭しても、不安は再来してくるし

怖くて前にも進めないし、
怖くて後にも引き下がれない、
どうしたらいいんだろう

どうも心のエネルギーが安定しない




こういう時も、実は、
自分の中の愛について考えるチャンスです。



怖い、不安だ、
これは「愛ではない」状態です。
なぜ不安や怖れを感じるのか?
それは、その時の自分が
「愛ではない状態」「愛ではない考え方」を
ずっと握りしめているからです。



たとえて言うならば、
ドライアイスを、握りしめているようなもので、
そんなことをしていたら、火傷してしまいます。
その火傷が、不安な状態なのです。



なんとなく、今まで生きている中で、
自分の考え方・感じ方が身に付いてきた。
それは、コンピューターにプログラムが
インストールされるようなものです。



だから、今までの自分の考え方・感じ方が
今の自分には、非常に楽と言うか、慣れています。
でも、それが必ずしも、愛だとは限りません。
中には、愛ではないものを、気づかないうちに
インストールしていることだってあります。



愛でないものが自分の中にある、
その証拠が、不安です。



私は宗教家ではありませんが、
世界のどの時代の、どの宗教であっても、
人間は本来は愛なる存在だ、と説きます。



本来は愛なる存在であるはずの、私たちの心の中に、
愛ではないものがインストールされたり、
愛ではないものが根付こうとしている時、
私たちの心は「異物が入っているぞ!」と言う
反応を示すのです。



それが不安です。



つまり、不安を感じると言うのは、
その人は、愛ではない考え方・感じ方をしている、
と言うサインであり、
「そう言う考え方・感じ方は、
あなたには、似合わないよ、ふさわしくないよ」
と言う心の声なのです。



例えば、不安に押しつぶされそうな時、
不安に負けそうで、苦しいです。
いや、不安に負けていて、なんだか悲しいです。



でも、自分がそう思っているだけで、
心は、違うことを言っています。



「本来のあなたの姿が、不安で歪められているだけ」
「本来のあなたは、不安の人ではないよ」
「本来のあなたは、不安に負ける人ではないよ」



なんども繰り返しになりますが、
今の自分の考え方・感じ方が
本来の自分と異なる方角に行っている、
と言うサインが不安なのです。
自分の中にある「愛ではない異物」に対する反応が
不安なのです。



では何が、異物なのか?
何が愛ではない考え方・感じ方なのか?



それは人それぞれなので、
一概には申し上げられませんが、
以下に、3つの部類に分けた
私なりのチェックポイントを挙げてみます。
参考までに、ご自分と照らし合わせてみて下さい。



1)【自分に対する評価】
自分は無力だと思っていないか?
自分の存在には価値がないと思い込んでいないか?
自分は非力で望みを叶えられないと思っていないか?
自分は好かれない、愛されていないと思っていないか?
過去の経験だけで自分のタイプを決めつけていないか?
自分の悪い所ばかりを粗探ししていないか?
謙虚さを重んじる余り、自分を過小評価していないか?
自分が受け取る幸せ・豊かさの形を限定していないか?



2)【自分に対する愛情】
自分を愛していると、堂々と言えるか?
自分を一生をかけて育てようとしているか?
自分に手間暇をかけているか?
嘆いていれば誰かが助けてくれると思ってはいないか?
苦悩や悲劇がないとダメだと思い込んでいないか?
自分の中に整理出来ていない、怒りや悲しみはないか?



3)【自分の生き方・行動】
不納得な生き方をしていないか?
建前ばかりで、自分の本音から逃げていないか?
ごまかして、本当の夢を捨てかけていないか?
自分らしい行動を、いつもしているか?
好きでもない人と、無駄に一緒に居ないか?
いつも誰かを怖れていないか?
起きてもないことを先読みし、妙に安心していないか?



いかがだったでしょうか?
お手隙の時に自分をチェックしてみて下さい
でも、お手隙の時なんて無いですね。
じゃあ後でやるか、では後回しになるだけで、
ピンと来た!その時を大事にしなければ、
ズルズルになってしまいますね、人生は。



あ?私ですか?
ちなみに、私はチェックポイント、いくつか引っかかりましたね(笑)
私も課題がございます。



ということで、
今日は「愛について考える」の続編でしたが、
つまりは、
不安(怖れ)という、
本来の自分、愛ではない「異物」が心にある時、
そのサインとして不安が現れるよ、
というお話でした。



今日も最後までお読み頂き、
誠に、ありがとうございました。
心から必要としている人に向かって
このコラムが飛んでいくことを願っております。