医師 黒木 弘明

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二〇二四年 五月三日(金)

綴りごと 想いごと

愛された人

教わることも踏襲することも大切。

それと同じ様に、自分で定義することも大切。

型に入って型を出る。


他人からの賞賛は多いほど良い…
人の上に立つことが有能な証だ…
常に危機感を持って情報を見逃すな…
いつも世界に目を向けろ…
成功は失敗よりも素晴らしい…
嫌なこと・怖いことは少ない方が幸せだ…


教わったことのうち、

どこまでが果たして本当だろうか?

いや、他人から教わったことを自分の人生を懸けて咀嚼し、

吟味し、修正し尽くして編み出した真実を、

わざわざ他人に分かりやすく教えてくれるような

親切な人がどれ位いるのだろうか?

釈尊くらいだろうか?


私たちの感性の中には、

習ったり、教わったり、刷り込まれたりしたものと、

誰にも染められないものとが混じっているが、

情報社会という名の下で休みなく欲求を刺激され、

時代の潮流とか社会適応に夢中になっているうちに、

どれが自分の本当の感性なのか?

分からなくなってしまう時があるので注意を要する。

私たち人間には、器用さと言う不器用さがあるから。


辛いこと、怖いことは、

それに耐えられる人にのみ与えられると言う。

辛さを体験した人にはその分、慈悲の心が生まれ、

幸せを見つける感度が発達する可能性が開けている。

この様に「日々のわずかな一瞬に幸せを見出せる人は、

溢れんばかりの幸せが有っても

それに満足できない人よりも、感度が豊かである。

すなわち、この世に愛を見出すために

様々な経験を与えられた人、愛された人である」

と定義することもできる。自分の定義で。



生学癒活121ページ