医師 黒木 弘明

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二〇二四年 五月一六日(木)

綴りごと 想いごと

心は時間で育たない

 

 

肉体は時間が経てば大人になるけれど、

心は自分で育てなければ成熟しないのが、

まず大変なこと。

 

 

自分の心を育てる術を知るよりも前に
肉体が先行して大人になってしまった人は、
心のことなどお構いなしに大人扱いを受け、
大人として生きてゆかねばならず、
生きづらさを感じていることが少なくない。

 

 

生きづらい人の中にある、
行き場の無い悲しみと怒りは出口を求めて、
やむを得ず、外に吐き出されることがある。

 

 

しかし残念ながら、
それが吐き出した本人を、
更に生きづらくすることもあり、
また意図せず、他者を苦しめることもあり。

 

 

意図せず、悪気なく、気づかずに
傷つけ合ってしまう人間と人間が
言葉にならないモヤモヤに苦しんでいる。

 

 

厳密に言うと、
心は誰も育ててくれないんだよ。
自分にしか育てられないんだよ。
誰からも心の面倒を見てもらえなくて
淋しかったのは、よく分かるんだけどね、
でも心って、そうなんだよ。

 

 

だからこそ、
自分の心を育てる大人になる為の、
学びの場が必要なんだよね。
自分で心を育てる術を学ぶ場が必要だよね。

 

 

究極には、各自の人生が
学びの場ではあるのだけれども、
ヒントと練習が、もう少しあってもいい。

 

 

大人になってしまった人が
今度こそ自分を育てることを
学び直すための学校が要るなぁ…
時々、いや、しばしばそう思うのです。