医師 黒木 弘明

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二〇二四年 五月一六日(木)

綴りごと 想いごと

心のリフォーム

 

ギクシャクした人間関係、あるいは
困ってしまうようなご家庭事情、または
上手くいかない自分自身との関係性のどこかに
「傷つくご褒美」が潜んでいることが多いです。
それはどんなものかと言うと、

 

 

〜できたら、ご褒美あげるよ…(条件づけ)
〜してくれたら、良いのに…(理想の投影)
というようなものです。

 

 

よく親御さんがお子さんに向かって、
「〜できたらご褒美ね」なんて言って
お子さんの奮起を促すことがあります。
それを言われた子どもさんは、ご褒美に向かって
頑張ってるように見える時もありますが、
毎回本当に、心から嬉しいとは限りません。

 

 

最初のうちは、
お子さんの方もご褒美目当てで頑張れるのですが、
そのうち「親の理想に誘導されてるのではないか?」
と気づき始める、勘の鋭い子も居ます。

 

 

あるいは、言葉にしなくても
「何で頑張らないと、愛してくれないんだろう?」
「何で無条件に受け容れてくれないんだろう?」
と悲しくなってくる子どもさんも居ます。

 

 

そうなると、身体が動かなくなったり、
逆に暴れたくなったりしてきます。
いわゆるストライキに入る訳です。

 

 

これは親子関係だけではなくて、
家族関係、パートナーとの関係、
自分自身との関係にも当てはまることです。

 

 

〜してよ、〜しなさいよ、
〜してくれたら良いのに…
と求められた側は傷つき苦しむことがありますが、
この条件付けのデメリットは実は、
求める側の人、その人に及ぶのです。

 

 

どんなデメリットかと言うと、
他人に条件づけばかりしている人は、
いつかその条件に自分が苦しめられてしまうことです。

 

 

例えば、
テストの点数が人間の価値だと思ってる人は、
ある日急にテストの点数が取れなくなったりすると、
その時、自分の価値が無いと強く思い悩んでしまいます。

 

 

自分が他人に求め続けてきた条件に
いつか自分が苦しめられてしまう、
これまで自分や他人を肯定するための条件が崩壊し、
自己否定に苦しむようになってしまう、
というのが、条件付けのデメリットです。

 

 

求めるにしても、やり方は色々あります。
提案する、誘う、お願いする、命令する、などなど。

 

 

〜してみない?
一緒に〜してみようよ!
サポートするから〜しようか!
別に上手くいかなくたって嫌いにならないよ!
何もできなくたって君のことが大好きだよ!

 

 

促すにしても、こんな言い方もできます。
とにかく、人間は自分のことを
愛してくれない人の言うことは受け入れ難く、
自分を大きく愛してくれる人の声に耳を傾けるようです。

 

 

ちなみに、自分を支えてきた条件が崩壊して
自己否定に苦しみ始めてしまった場合は、
新たに自分を肯定するための理屈を
再構築することになります。

 

 

つまり
自己イメージのリフォームになります。
そういう意味では、僕は
心のリフォーム業者さんなのかも知れません。

 

 

みんな生きてる間に、何度も何度も
自己イメージをリフォームしているんですよ。
むしろ、自分が生きやすくなるように
自己イメージに創り換えてゆく、
それで良いんです(^^)