医師 黒木 弘明

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二〇二四年 五月六日(月)

綴りごと 想いごと

幸せに出逢う人たち

 

 

仕事柄、人前でお話をすることも、

人のお話しを聴くことも多いです。

 

人のお話し(多くは悩みであるが)を
聴くと、ほとんどいつも僕はこう思う。

 

 

「この人、凄いなぁ」
「こんな悩みを抱えながら生きてきたのか」
「とても僕には真似ができない」
「この人は今は弱っているが、元来は強い人だ」
「きっとこの人は、新しい幸せに出逢うのだろう」

 

 

何度も時間をかけて話を聴けば聴くほど、
その人の心の構造がくっきりしてくる。
心の中の色んな柱がその人の心を支えていて
今どこの柱の修復中なのかが分かる。

 

 

つまり苦悩を通してその人は
自己修復作業をしているのだが、
ご本人にはそれが中々分からない。
それがとても口惜しい所であるが、
人間が一人では完結できない所以でもある。

 

 

だから僕はその人の心の目撃者として
「貴方の心は弱っているかに見えますが、
今大変な力強さを発揮しつつありますよ。
貴方は今、〜あたりの心を修復中ですよ」
と見たままを伝える。何度も伝える。

 

 

そんなことを言われても、にわかには
信じられない人も居れば、一瞬にして
腑に落ちる人も居る。それもまた良し。

 

 

心の修復は、生きることの再構築であり、
その人の愛の定義をリニューアルすること。
僕はお話しを聴きながら、その人の
心と人生の再生プロジェクトを目撃するので、
その進行具合を伝えているに過ぎないのだが、
時としてそれが、再生の後押しになることがある。

 

 

再生してゆこうとする心はどれも皆、
ひたむきで、美しいし、可愛いし、たくましい。
見ている僕の方が学びを貰い、癒やされる。有難い。