医師 黒木 弘明

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二〇二四年 四月二七日(土)

綴りごと 想いごと

助ける

 

 

あなたを助ける上でもっとも力強いのは

やはり、あなたより他に居ないと思うのです。

 

 

他人の私が、

いえ仮に私があなたの身内であったとしても

私が及ぼす影響よりも

あなた自身の選択の方が

はるかに優っているのです。

 

 

究極的に申せば、

私は人助けは出来ないのだろう、と考えています。

あなたを助けるのは、私ではなく

あなた自身だからです。

 

 

たとえば、

言葉では「助けて下さい」と言っていても

その実は、まだ助かりたくない人も居ます。

誰かがいくら手を差し伸べても

その手を離して逃げたり、甘えたりしながら、

自分を助けに来た人が

どこまで追いかけて来てくれるかを

(悪気はなくても)試してしまう人も居ます。

 

 

その人は、自分を助けたいのではなく、

自分が愛されているかを確認したいのです。

まだ自分で自分を助ける段階にないので、

私が助けたくても助けられない所に居ます。

 

 

そんな時、私たちも歯がゆいです。

涙が出ることもあります。

しかし、手の打ちようがありません。

本人が望んでいることを捻じ曲げることは

私たちには出来ません。

 

 

では、人助けができない私が

何をしているのか?と言うと、

誰かが取り組もうと苦労している

「自分を助ける」という作業を

私の範疇で応援している、というだけです。

それ以上のことはありません。

 

 

ですから厳密に言えば、私の元に来られても

突然、闇が消えて無くなるような

ドラマティックな救いや癒しは、ありません。

 

 

「癒し」という言葉に求められる優しさや

全てを包み込むような思いやりのような

そんな魔法は私の元には無いのです。

 

 

私の所に置いて有るのは、

せいぜいヒントやキッカケです。

私とあなたの瞬間の出逢いが織り成す、

化学反応のようなものでよろしければ

置いてあります。

 

 

体験者によると、その一瞬の化学反応が

ひらめき、インスピレーション、

発想の転換、トンネルの出口などに

やがて変わって行くのだそうです。

まさに化学変化ですね。

 

 

仮に私の言葉が悩める方に影響したとしても

それは私の中から出た癒しではなく

昔からご本人の中に内在していた癒しが

その時に顕在化しただけ

只それだけのことだと、私は捉えます。

 

 

どんなに苦しくても

あなたの中の癒しの源が減ったとは言え、

何一つ無くなった訳ではありません。

どうか信頼してください。

 

 

私があなたを信頼するのではなく

あなたがあなたを信頼できるように

 

 

私があなたを愛するのではなく

あなたがあなたを愛せるように

 

 

あなただけが豊かになるのではなく

あなたを含めた森羅万象が豊かになるように

 

 

それを心から望む人を手伝ってゆくのが

私のささやかな生業です。