医師 黒木 弘明

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二〇二四年 四月二〇日(土)

綴りごと 想いごと

優しくなるとは?

2020年2月29日、ふたつ目の投稿です。

前の投稿で

「4年前の2月29日の自分と比べて、

1ミリでも優しい人間になりましたか?」

と書きましたが、はたして

「優しくなる」とは、どういうことでしょうか?

私の定義では

「自分の中の『怖れ』を認めることができるようになること」

が、優しくなるということです。

怖いという感情、

これを抱き続けるのが『怖れ』という状態です。

この『怖れ』という心のダークサイドは、

予想以上に影響が大きいです。

しかし、大半の人は(必要が無ければ)

自分の中の『怖れ』を見たくないことでしょう。

それでも、自分の中の『怖れ』を

しっかりお世話してあげないと、

何かのきっかけに『怖れ』が暴発してしまい、

正気を失い、大変なことをしでかすのが、

愛すべき私たち人間なのです。

思っている以上にお世話が必要なのが、

私たち愛すべき人間なのです。

私たちの中の『怖れ』と向き合わない限り、

「怒り」は消えず、「許し」は生まれない、

と私は考えます。

「許し」が生まれない限りは

『愛』が見えてこず、平和と癒しが訪れないでしょう。

もしあなたが、平和な世界を切に望むなら、

自分の中の『怖れ』と向き合って欲しいのです。

怖い出来事が起きない世界が平和なのではなく、

『怖れ』に無関心な世界が平和なのではなく、

自分の中の『怖れ』と向き合い、

『怖れ』を怖れることがない状態が平和なのです。

「嫌なこと=怖いこと」を解決する

方策・答え・正答を求めることに集中するあまりに、

あなたが嫌なことを嫌だと思う、

その心の中に『怖れ』があるという事実から

逃げないで欲しいのです。

その『怖れ』と向き合うことこそが、

大切な解決策であることを知って欲しいのです。

人間は皆、『怖れ』を抱えて生きています。

みんな毎日『怖れ』と背中合わせで生きています。

しかし見向きもしません。

だからこそ、『怖れ』と向き合う為の

まとまった時間が必要なのです。

その時間が人生です。

あまり知られていないことですが、

『怖れ』と向き合う作業は、

実は非常にポジティブな作業です。

『怖れ』そのものではなく、

『怖れ』から逃げることがネガティブなことなのです。

『怖れ』と向き合うことは、

『愛』へと向かうための大切な道筋なのです。

平和な時も、悩みがない時も、日々の生活を通して

「自分と向き合うこと、自分の中の怖れと向き合うこと」

を啓発していくことが、私のライフ・ワークです。

昨日スーパに行ったら、

トイレットペーパーが無くなっていました。

今、世の中は若干混乱しています。

が、やがて平和な日々を取り戻した後も、

どうか忘れないで頂きたいことがあります。

死ぬことの『怖れ』、

生活を支えるお金がなくなることの『怖れ』、

所持しているものが無くなることの『怖れ』、

これが各自の中に有り、こんなにも影響を生むんだ

ということを忘れずに、

この後も向き合い続けて欲しいのです。

今起きている社会の混乱が、

『怖れ』を知るという意味で、

そして再び『愛』を見出すという意味で、

良い機会になることを心から願っています。

その時、

私たちの世界は1ミリでも優しくなっているはずです。