医師 黒木 弘明

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二〇二四年 四月二六日(金)

綴りごと 想いごと

休みの目的

良い仕事をするには、

適切な休みが欠かせません。

良い仕事とは、

良く自分に仕えている事を指します。

つまり、あなたに備わる才能才覚が

心地よく、楽しく、開花する状態のことです。

職業や収入とは全く関係ありません。

従って、

適切に休むことは

良い仕事の下準備ということになります。

下準備もなく、良い仕事など生まれません。

では、休むとは何でしょう?

なぜ休むのでしょうか?

休みの目的は何でしょうか?

多くの方は、

休むとは心身を休めることである、

とお思いでしょう。

間違ってはいません。

ですが、それだけですか?

何のために心身を休めるのですか?

休めば才能才覚が開花しますか?

何か、その先がありそうです。

「休むこと」と「才能才覚の開花」の間を繋ぐ

何かがありそうです。

それこそが『休みの目的』と言えるでしょう。

十二分に体を休めて、精神を鎮めることを

私が何よりも推奨するには訳があります。

これでもかと言うくらいに

心身を休め、鎮めることによって、

『自分との対話』が進みやすくなるからです。

自分との対話。

本当は自分は、何を望んでいるのか?

本当の自分は、どう生きようとしているのか?

自分という物語を

楽しんで、歓んで、全うするには

どうしたら良いのか?

その答えは、

自分との対話の中に在ります。

いえ、自分との対話の中にしか在りません。

経済、科学、医学、治療、施術、ヒーリング、芸術全般、

最新データ、理論、知見、流行のマネジメント手法、

セミナー、コンサルティング、各種助言、

説教、法話、占い、霊言、預言、予見、リーディング、

これら全ては、ヒントに過ぎません。

ヒントは、答えではありません。

ヒントから助けられ、学ぶこともあるでしょう。

それでも、私たち弱さと怖れを抱える人間は

ヒントに対して、感謝こそすれ

過剰な期待と依存には、気をつけなければなりません。

答えは、

自分の選択によって創るものです。

従って、

自分の人生を生きるための答え、

自分の才能才覚が開花するための道筋、

つまり、良い仕事をするための順路は

自分が司っているのです。

自分の中にあるのです。

しかし、あなたの答えが

自分の中にあるからと言って、

今のあなたが、それに気づいているとは限りません。

特にあなたが、

肉体的に疲弊し、消耗し、不具合と苦痛を感じ、

感情的となって、精神的にも

自分を俯瞰する余裕がない状態では、

いくら沢山ヒントを集めたとしても、

自分の中の答えは見つからないでしょう。

だから休むのです。

心身を鎮めるのです。

十分、十二分に、徹底して心身を鎮め、

自分との対話を進めて、

今を生きる自分の本心が見えてくれば

あなたの休みの目的は達成され、

あなたは再び充実した状態を取り戻し、

また次の一歩を踏み出すことができます。

しかしながら、

なんとなく数時間寝た、数日ぼんやりした、

バカンスに行った、名所に行った、というだけで

自分との対話をしないままの状態では、

ただただ、休み明けが憂鬱となるだけです。

それは休みとは申しません。

ゆえに、疲れが取れません。

また、どこかで良い話を聞いた、良いものに触れた、

誰かに良くしてもらった体験なども

数日から数年間の興奮を持続させることは出来ますが、

自分との対話をしないままの状態では、

その興奮が冷める頃に、またすぐ次の興奮を

求めるのが、関の山です。

感動に似た興奮を利用して、

疲労した自分を誤魔化しながら

自分との対話を避け続けてると、

いつか本当に疲弊して、爆発してしまいます。

あなたの時間を投じた休息や

あなたの中に生まれた感動や安寧、

あなたが掴んだヒントの数々を

自分との対話に繋げてゆかなければ、

全て過去の消耗品となってしまいます。

どれだけ心地よくても

自分との対話から生まれる学びが無ければ

それは、一時的な興奮や快感であり、

あなたの本当の癒しには至らないでしょう。

自分との対話が進むと

自分の声が聞こえます。

自分の本心を感じます。

それこそが、あなたの中に生まれた答えです。

すると気になるのは、

自分との対話の方法や

自分の本心に辿り着く方法です。

例えば、

あなたの心身が安まり、鎮まった上で、

ふと唐突に心に思いつくこともあり、

鉛筆で自分の気持ちを書きとめている時に

文字で見えることもあり、

無為に走ったり、歩いたりしている時に

体で感じることもあり、

身の廻りの掃除中に感じることもあり、

祈りや瞑想中に湧き上がることもあり、

十人十色、人それぞれの方法があります。

あなた自身の方法を

失敗を怖れず、試しながら、探しましょう。

こればかりは代打が利きません。

あなた自身が自分でやってみないと分かりません。

そして、自分との対話が進むと

中途半端な休息とは比べ物にならないほど

あなたの疲労は取れるでしょう。

本来の自分

つまり、自分の中の愛にアクセスすると

人間は途端に元気が湧くという、

なんとも不思議なことですが、

あなたも体験されれば、きっとお分かりになります。

なお、休みに要する時間も

全く持って、人それぞれです。

一時間の休息で自分の対話を進める人もいれば、

五年や十年かかる人が居ても不思議ありませんが、

時間の長短は問題ではありません。

あなたが自分を謳歌するためには

心身を鎮める十二分な休みが必要です。

その休みの中で、自分との対話をして下さい。

それこそが本当の『休みの目的』であり、

あなたが人生を謳歌するための下準備です。

最後に、公平を期するために

私のコラムでさえも、あなたの答えではなく

所詮はヒントに過ぎない、

ということを申し上げておかねばなりません。

この先はあなたの選択であり、

あなたが創りだす答えが、

あなたの中の愛が、あなたを導きます。

どうぞ素敵なお休みを通して

ご自分の愛に出逢われますように。