医師 黒木 弘明

メニュー

二〇二四年 五月二日(木)

綴りごと 想いごと

ワクワクって何だ?

楽しいことが良いこと、

満たされることが楽しいこと、

と私たちは自動的に感じてしまうけど、

この盲目的で自動的な感情に一石投じたい。


楽しい感じ、満ち足りた感じ、元気な感じ、
これらが総じて「ワクワク」と呼ばれる昨今。
みんな揃って「ワクワクしよーぜ♪」、
猫も杓子も「ワクワクを求めて行こーぜ」的な、
まるでワクワクが世界を救うかの終末論的な、
ワクワクと唱えれば即ワクワクしてくるぜ!
かの如くの呪文のような勢いを感じるのは、
私だけかな?


いいよ、ワクワク。
私も好きだよ、ワクワク。


しかしながら、その逆の
悲しいことは悪いことなのかな?
不足していることは害なのかな?
楽しくないことはワクワクではないのかな?


悲しいことは良くないこと
だから楽しい方角に行こう、
はたまた
悲しいことを排除したい、
その為に悲しい原因を突き止める、
そして悲しい原因を駆除しよう、


それってなんか独り相撲のような…
ワクワク商法にかかっているような…
(まぁ、それが可愛い人間なんですが)


私たちは、楽しみを追い求める余り
悲しみに耐えれなくなっているような…
満足がフツーになる余り
不足しているという自然現象を
慈しむ心が欠けてきているような…気がします。


楽しくないことも
満たされないことも、悲しいことも
感情がギャーギャー言うだけのことで
それは本当の私ではない。


感情は私の一部であるが
私は感情そのものではない訳です。


感情に振り回されていると言うのは
自分が由り処ではない状態だから
自由ではない訳です。


楽しくても、元気でも、
感情に振り回された不自由な状態を
私はワクワクとは呼ばないのです。


楽しくても良いし、悲しくたって構わない。
満たされていても、不足していても
自分であることに変わりはない。


感情の起伏ではなく自分に由って在ることに
すなわち、自由で在ることにワクワクしたいなぁ
と思う今日この頃です。