医師 黒木 弘明

メニュー

二〇二四年 五月五日(日)

綴りごと 想いごと

セルフケアでも独りじゃない

10年以上前から

セルフケア・セルフラブを推奨してきました。

 

 

なぜかと言うと、

セルフケア・セルフラブを心がけている人は、

結果的に楽になってゆくからです。

既にケアやセラピーを受けている人も、

そのケアやセラピーが上手く進行して、

良い効果が現れやすくなるからです。

 

 

セルフケア・セルフラブと言っても、

独力で全てのケアをすることではありません。

むしろ自分では行き届かない部分のケアを

他者に手伝ってもらうことは、大切なことです。

手伝ってもらっているケアの下支えとして

セルフケアが大切なのです。

 

 

逆に、ケアやセラピーを受けているものの、

一向に楽にならない、と仰る人も居ます。

その人たちの中には、自分の症状や本音に気づかずに

無視してしまうセルフネグレクトや、

自分自身のことを憎んでしまうself-hatred

セルフヘイトが、潜んでいる場合が見られます。

 

 

気づかないうちに、無意識に、

あるいは習慣的に、セルフネグレクトや、

セルフヘイトを行ってしまう人の中には、

それを支える何らかの考え方(認知・観念)が存在します。

 

 

 

例えば「自分は弱音を吐いてはいけない」とか

「自分は誰かを喜ばせることで初めて価値が生まれる、

なのに人の迷惑になっているので、今の自分は価値がない」

などのような考えが、強固に存在している場合があります。

(蓄積した怒り、悲しみ、不満があるケースもあります)

 

 

 

専門家からもたらされるケアやセラピー以上に、

自分自身のセルフヘイトの方が大きな影響力を持つので、

ケアやセラピーが奏功しづらい状態になってしまいます。

(これが「自分自身は自分自神」と言われる所以です)

 

 

つまりセルフケアとは、

「今の自分は、最も影響力のある自分の力を、

自分に対してどんな風に使っているのかな?」

とセルフチェックする所から始まります。

 

 

セルフチェックによって

セルフネグレクト、あるいは、セルフヘイトが

見つかった後は、信頼できる専門家と一緒になって、

その人の中にあるセルフネグレクトや

セルフヘイトを支える考え方(認知・観念)を探します。

またその考え方がどこで発生したのかを探ります。

 

 

その後ゆっくり時間をかけて

セルフヘイトを支えている観念を、

新しいセルフイメージに置き換えてゆき、

セルフケア・セルフラブに移行してゆくのですが、

実際には3歩進んで2歩下がるよう作業を

何年も繰り返して、セルフラブを定着させます。

それが普通です。

 

 

 

まずはできる範囲で良いので、

自分に優しくする。自分を追い込まない、

自分を採点しない、責めない。

すると徐々にではありますが、

自分を理解することが怖くなくなります。

自分への理解や発見が進めば、

ケアやセラピーが進みやすくなります。

 

 

自分に優しくする方法が分からない時は、

まず「助けて欲しい」「ケアを受けたい」

「セラピーを受けたい」という声を出すだけでも、

立派なセルフケア・セルフラブにつながります。

 

 

セルフケア・セルフラブは、

常に自分独りだけで行うものとは限りません。

専門家のケアやセラピーや、

同じ悩みを持つ仲間たちなど色んな人の力を

借りながら、自分の内面に目を向けて、

自分に手を差し伸べてゆくのが

セルフケア・セルフラブです。

 

 

 

自分の力を使って、

自分が望むような

自分という宇宙を育てる作業のことです。