かば君の詩
朝、目が醒めて、ありがとう。
夜、眠気が来て、ありがとう。
何でわざわざ御礼を言うのか?
だって当たり前じゃないんだもん。
夜、眠れないかも知れないし、
朝、目が醒めないかも知れない。
失うものがあるかも知れない。
でもそれを承知で生きるんだ。
失いたくない、傷いたくない、
減らしたくない、傷つきたくない、
そう思えば思うほど、地球で生きるのが苦しい。
しかし苦しみながら生きてみて分かったのは、
失っても、損なっても、減っても、弱っても、
命の価値はびくともしないということだった。
つまり、生の焦点はそこじゃなかったのだ。
守るとか、得するとか、増やすとか、
強くなるとか、そういうことじゃなくてさ、
命を活かす、命を表現するってことだったんだ。
焦点がズレてたから苦しかったんだ。
今日も目が醒めたが、何かを失うことも、
何かを得ることも、何かを減らすことも、
何かを増やすことも、何かに傷つくことも、
そりゃ、あるだろう。あるだろうが、
僕は僕の命を表現することに今日を懸ける。
僕の中の苦悩に焦点を当てず、
僕の生の歓びに焦点を当てる。
朝陽を浴びて、外気を吸い、足を洗い、
感謝を述べ、笑顔を浮かべながら、
僕は僕を思い出す。