医師 黒木 弘明

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二〇二四年 五月六日(月)

綴りごと 想いごと

かば君の詩

 

 

朝、目が醒めて、ありがとう。
夜、眠気が来て、ありがとう。

 

 

何でわざわざ御礼を言うのか?
だって当たり前じゃないんだもん。

 

 

夜、眠れないかも知れないし、
朝、目が醒めないかも知れない。
失うものがあるかも知れない。
でもそれを承知で生きるんだ。

 

 

失いたくない、傷いたくない、
減らしたくない、傷つきたくない、
そう思えば思うほど、地球で生きるのが苦しい。

 

 

しかし苦しみながら生きてみて分かったのは、
失っても、損なっても、減っても、弱っても、
命の価値はびくともしないということだった。

 

 

つまり、生の焦点はそこじゃなかったのだ。
守るとか、得するとか、増やすとか、
強くなるとか、そういうことじゃなくてさ、
命を活かす、命を表現するってことだったんだ。

 

 

焦点がズレてたから苦しかったんだ。
今日も目が醒めたが、何かを失うことも、
何かを得ることも、何かを減らすことも、
何かを増やすことも、何かに傷つくことも、
そりゃ、あるだろう。あるだろうが、
僕は僕の命を表現することに今日を懸ける。

 

 

僕の中の苦悩に焦点を当てず、
僕の生の歓びに焦点を当てる。

 

 

朝陽を浴びて、外気を吸い、足を洗い、
感謝を述べ、笑顔を浮かべながら、
僕は僕を思い出す。