医師 黒木 弘明

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二〇二四年 三月二九日(金)

綴りごと 想いごと

うどん屋の釜

僕が小学生だった頃、

武田鉄矢さん(現在71歳)が好きで、

彼の映画やドラマを観たり、

歌をカセット(まだCDなく)で聴いたりしていました。

彼の出演した映画の中に

「思えば遠くに来たもんだ(1980年公開・朝間義隆監督)」

という作品があります。

高校教師役の武田鉄矢さんのセリフの中に、

以下のようなものがあります。

九州では、お前たちのような青年を

「うどん屋の釜」と言います。

分かるか、お前ら?

ゆーばっかし(言うばっかし=湯ばっかし)。

ちなみに、故郷を離れて九州に住んで、

もう20年以上となる僕ですが、

(まさに、思えば遠くに来たもんだ・笑)

未だに「うどん屋の釜」という言葉に

出逢ってはおりません(笑)。

それはさておき、皆さんの周りにも

この「うどん屋の釜」みたいな人が居ませんか?

「次からはしっかりします、もう同じミスはしません!」

「コツを掴みました、次回はできる自信があります!」

などと本人は言うものの、その人を見ていると、

少しは変わっているような気がするけど、

根本的には変わっていないような感じで、

結局はまた同じことを繰り返しているような、、、

同じ反省+同じ行動=同じ結果、、、

そんな「うどん屋の釜」的な人。

と言うことで、今回は

何故、同じような繰り返しをするのか?

いつ「うどん屋の釜」を抜けれるのか?

について考えます。

次こそは大丈夫です!と言うその人は、

おそらく幾つかの失敗の中で、何かを発見し、

少しずつ変化をしているのだとは思います。

その変化によって、

その人の行動や言動、考え方や感じ方が変わってくれば、

確かに結果も変わってくるとは思いますが、

その変化はまだ不安定で小さいために、

その変化が安定的に持続しないのだろう

と推測します。

つまり、一度や二度の「変化」だけでは、

その人の人生の物語を

大胆に変化させるには至らないのだろう

と私は考えます。

変化するだけではなく、それを連続させること

連続するだけではなく、それを継続すること

継続だけではなく、それを維持すること

維持するだけではなく、それを習慣とすること

習慣にとどまらず、それを自分の在り方とすること

小さな発見、小さな変化が、

自分の『在り方』にまで落とし込まれた時、

その人の人生の物語は

大胆に新しく展開するだろう

と私は考えます。

変化や連続、継続、維持、習慣としている間であっても、

刻々とあなたの人生の物語は変化しますが、

まだ自分の『在り方』に落とし込めてない段階で、

人生の変化に一喜一憂して、

「もう自分は人生を支配した!私は生まれ変わった」

と早合点してあぐらをかいたり、

逆に望むような変化が持続しないからと言って

「私は人生に見捨てられた」と拗ねたりすると、

また「うどん屋の釜」に逆戻りします。

しかし、だからと言って

「うどん屋の釜」的な人を責めないであげてください。

それが自分自身なら、なおの事です。

その人は、今変化の最中ですから。

今、新しい自分の『在り方』を構築しようと、

練習中なのです。特訓中なのです。

ただそれだけです。悪気も罪もありません。

練習を積んで、何度も同じ失敗を繰り返して、

時に振り出しに戻って、特訓をした人は、

逆に諦めません。

油断や慣れから来る失敗を知っているので、

下手な大口も叩きません。黙々と取り組みます。

その間、どんどん新しい自分となってゆきます。

些細な変化が三日坊主ではなく、

連続し、継続し、それを維持し、やがては習慣となり、

果てには自分自身の在り方となるのです。

そうなれば、少々のことがあっても、後戻りはしません。

そして、今新しく変化しつつある人、

あるいは、

自分の人生の物語を

新たに書き換えようとしている人へ。

どうぞ焦らず、謙虚に、でも楽しく、

そして、じっくり粘り強く

あなたが今感じつつある、

あなたの新しい変化を

あなたの在り方にまでしてゆきましょう。

何度でもチャレンジしましょう。

少々思い通りにならなくても

自分を見捨てないでください。

せっかく出逢った変化です。

あなたの一部ではなく、

あなたそのものにしてしまいましょう。

その先には、

あなたの新しい物語が待っています。

美味しい出汁の効いたうどんです(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎

(完)