医師 黒木 弘明

メニュー

二〇二五年 二月二〇日(木)

綴りごと 想いごと

逃避癖

 

 

調子が思わしくない時はみんな
自分の癖が顕著になることが多いよ。

 

 

最も多いのが逃避癖だけど
逃避の仕方がみんな少しずつ違うよ。

 

 

癖のパターンをザッと次の
❶〜❺に列挙してみたけども、
実際にはどれか一つだけではなくて
例えば「❶の一部+❸の一部」のように
複合的なパターンをみんな持っている。

 

 

❶苦しくなると、無理をしたり、余計に頑張ることに、社会的意義を無理に見出そうとしたり、何らかの大義名分を見出しながら、自分の体を痛めつけることで、心の苦痛から逃れようとするが、調子は余計に悪くなる。自分で休むことが許せず、誰かに助けて貰いたい、ストップをかけてもらいたい願望が隠れているパターン。

 

 

❷苦しくなると、人恋しくなって、自分を認めてもらいたくなったり、自分を褒めてもらいたくなる。心が渇くので、お世辞や上辺だけの付き合いでも構わなくなるが、後で再び傷つき、自分と他人への信頼がなかなか増えないパターン。

 

 

❸苦しくなると、それまでの夢や理想や希望を捨て、極端な現実主義になる。思い通りにならないので、急にやりたくもないことや、好きでもない人を、無理筋で好きになろうとしたり、無理に意義を見出そうとする。色んな言葉を遣って自分を洗脳することを試みるが、やがては自己不一致に陥り、調子は良くはならないパターン。

 

 

❹自分の中の言葉にならないような虚無感、何とも言えない心の空白を、とりあえず何かで埋めようと試みる。衝動的にモノを買って手に入れ、所有欲を満たすことで、心の苦痛から逃れようとする。或いは、食べ物で内臓を満たすことによって、心の苦痛を和らげようとするが、そもそも心の空白を詳細に把握できている訳ではないので、埋め合わせすることもできず、結果的に同じような行動を繰り返すパターン。

 

 

❺苦しくなると、他人を批判して、自分の正当性を主張しながら、自分の心の矛盾や苦痛から逃れようとするが、そのことでは真の問題解決にはならず、むしろ(自分で気づかないうちに)更に心が空虚になり、余計に疲弊してしまうパターン。

 

 

とにかく調子が思わしくない時は
パターン化された思考を繰り返すことが
とても多い。それが貴方の脳の癖だ。
ストレスを受けた時の貴方の脳の癖。

 

 

その脳の癖のリピート再生に陥るので、
似たような失敗や苦痛を繰り返すことが
非常に多く、その結果「自分はどうせ
何をやってもダメ」と思い込む人も
多く居るが、元は思考と行動のループ。

 

 

そんな方々には
自分の思考や行動のパターン、
ハマりやすいループのパターンを
常日頃から心の伴走者と一緒に
確かめておくのを私はお薦めする。
調子が思わしくない時では
自己解析・行動変容・問題解決は
難しいのだから。

 

 

独りでは只の逃避のループでも
伴走者と一緒なら学びに活かせるかも。
独りで糸の切れた凧状態になることを
自立とは、私は言わないかな。

 

 

逃避癖も含めて自分と向き合い、
見苦しくても自分を知ろうとし続け、
なりたい自分になろうとし続けることが
自立の大事な要素、だと私は思うな。