医師 黒木 弘明

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二〇二一年 三月一日(月)

綴りごと 想いごと

セルフケアと健康マニア

生学癒活128ページ
健康マニアとセルフケアは違うよ。


健康マニアの人は、病気を怖れている。
これさえしていれば病気にならないだろう、
という想いで病気を避けるために取り組む。


病気を怖れている、ということは、
死を怖れている、ということであり、
生きることも怖れていることである。


さらに、自分が怖れているという大切な事実を
自分で認めない、或いは、認めたくないことが多い。
怖れを否定的に捉えているからだろう。
怖れを怖れているから、ポジティブにこだわる。


自分に受容されず無視された自分の気持ちは、
次第に行き場を失い、やがて怖れという塊となり、
受け容れられるまで、自分の中を彷徨うことになる。


だから、本質的な怖れが消えず、
病気や死を避けるために奔走しては疲弊する。
これが健康マニアであるが、それは悪いのではなく、
誰もが通る一種の段階である。


これに対して本当のセルフケアとは
病気や死を避けるためのものでは無い。


むしろセルフケアを通して、いかに自分が
病気や死、生きることを怖れていたのかに気づき、
怖れる自分を実感し、怖れる自分を見つめ、
自分を受容するために取り組むもの。


その結果、自分の中の怖れが
一つずつ解消されることになる。
その度に生きることが怖くなくなってゆく。
楽に生きる階段を一つずつ昇る。
病気や死に囚われず、生を謳歌することになる。


怖れというものは
認めれば消え、拒絶すれば残存する。


病気を怖れ、死を怖れ、生をも怖れる自分を
抱きしめられない人間は苦しむが、
自分の体と心と魂の声を聴き、自分の怖れを知り、
怖れる自分を受け容れていく人間は楽になる。


怖いなら怖い、それで良いのです。
無闇に掻き消そうとしないことです。
素直に自分の本音を認める所から
本当のセルフケアが始まります。
(完)